Benandiらは、 アトピー性皮膚炎治療に用いられる外用ルキソリチニブへの米食品医薬品局 (FDA) の警告の妥当性を検証するために、 外用ルキソリチニブ、 経口JAK阻害薬、 従来外用療法の有害事象発生率を比較する後ろ向きコホート研究を実施した。 その結果、 外用ルキソリチニブは経口JAK阻害薬と比較すると、 動脈血栓症および結核の発生率が有意に低く、 全身的に良好な安全性プロファイルが確認された。 試験結果はJ Am Acad Dermatol誌に発表された。
経口JAK阻害薬群における有害事象の発生率が非常に低いため、 外用ルキソリチニブ群との比較の解釈が困難です。 この点は、 より大規模なサンプルや対照群を含む今後の研究の必要性を示しています。
外用ルキソリチニブは米国においてアトピー性皮膚炎に用いられているJAK阻害薬であるが、 FDAは本剤に対し、 経口JAK阻害薬と同様のリスクを伴うと仮定しboxed warning (黒枠警告) を発出している。 本試験では、 アトピー性皮膚炎患者に対する、 外用ルキソリチニブ、 経口JAK阻害薬、 従来外用療法 (コルチコステロイドおよびカルシニューリン阻害薬) による有害事象発生率を比較した。
本研究は、世界規模のRWDプラットフォームであるTriNetXを用いた後ろ向きコホート研究であり、 外用ルキソリチニブ、 経口JAK阻害薬、 従来外用療法を受けた患者を対象とした。 傾向スコアマッチングにより人口統計学的要因および血栓塞栓症リスク因子を調整し、 有害事象の比較には、 Benjamini-Hochberg法によるt検定を使用した。
外用ルキソリチニブ群では、 経口JAK阻害薬群と比較すると、 動脈血栓症および結核の発生率が有意に低かった。 また、 従来外用療法群と比較すると、 全死因死亡率、 脳血管障害、 静脈血栓塞栓症のリスクが低下していた。
経口JAK阻害薬群では、 従来外用療法群と比較して帯状疱疹の発生率が高かった。
注目すべき点として、 すべての群において有害事象の発生率は低かった。
著者らは、 「研究の限界として、 本研究には生存分析が含まれておらず従来外用療法群の追跡期間が長かったため、 イベント検出に影響を与えた可能性があるとしたうえで、 外用ルキソリチニブは全身的な安全性プロファイルが良好であり、 boxed warningの再検討が求められる可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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