Martoranaらは、 抗Trop-2抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカンの転移性トリプルネガティブ乳癌 (mTNBC) に対する実臨床での有効性と安全性を後ろ向きに検討した。 その結果、 既治療/新規発症/異時性いずれかのmTNBC患者の34%が部分奏効を示した。 mPFSは5ヵ月、 mOSは10ヵ月であり、 無作為化比較試験のデータを裏付けるものとなった。 研究結果はAm J Clin Oncol誌に発表された。
アブストラクトでは主要評価項目の明示や安全性に関する詳細な記載が不十分であり、 解釈に不明瞭な点が残るため、 本文を併せて参照することが望まれます。
第3世代抗体薬物複合体であるサシツズマブ ゴビテカンについては、 転移性トリプルネガティブ乳癌 (mTNBC) に対する有効性が無作為化比較試験 (RCT) で示されているが、 実臨床データは限られている。 そこで、 mTNBCに対するサシツズマブ ゴビテカンの、 実臨床での有効性・安全性を検証する後ろ向き研究を実施した。
広範囲な前治療歴がある、 または新規発症、 あるいは異時性のmTNBC患者84例を対象とした。 対象患者に対し、 サシツズマブ ゴビテカンを推奨用量である10 mg/kgにて、 3週間毎に1日目と8日目に静脈内投与した。
完全奏効は認められなかったが、 29例 (34%、 95%CI 24.4-44.7%) が部分奏効を示し、 その奏効期間の中央値は6ヵ月 (範囲 : 5-14ヵ月) であった。
24例 (29%、 95%CI 18.9-38.2%) は病勢安定を示し、 病勢安定期間の中央値は7ヵ月 (範囲 : 4-13ヵ月) であった。
残りの31例 (37%、 95%CI 26.6-47.2%) は病勢進行を示した。
無増悪生存期間中央値 (mPFS) は5ヵ月 (範囲 : 1-14ヵ月)、 全生存期間中央値 (mOS) は10ヵ月 (範囲 : 1-18ヵ月) であった。
なお、 12例 (22%) は中枢神経系への転移が認められ放射線治療を受けた。
著者らは 「今回の実臨床データは、RCTで確認された有効性・忍容性の結果を裏付けるものであった。 サシツズマブ ゴビテカン治療については、 重篤な副作用の早期特定が重要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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