国立がん研究センター東病院の設樂紘平氏らの研究グループは、 HER2陰性の切除不能または転移性胃食道腺癌の1次治療に用いるマルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ+抗PD-1抗体ペムブロリズマブ+化学療法 (CAPOX*またはmFOLFOX6**) 併用の有効性および安全性を化学療法単独を対照に第III相無作為化比較試験LEAP-015で評価した。 その結果、 併用療法により、 化学療法単独と比べて無増悪生存期間 (PFS) が有意に改善したが、 PD-L1 CPS≧1の患者では全生存期間 (OS) の有意な改善は認められず、 治療関連有害事象 (TRAE) 発現率が増加した。 試験結果はJ Clin Oncol誌に発表された。
今回、 OSに関するp値は0.0244であり、 一般的な基準 (片側α=0.025) では有意と判断されますが、 OSの有意性の閾値 (p=0.0204) を上回っているため、 厳密には統計学的有意差があるとはいえないことになります。
レンバチニブは、 前臨床においてペムブロリズマブとの併用効果を示し、 臨床においても腎癌・子宮体癌などに対する併用効果が報告されている。
さらに、 国立がん研究センター東病院の臨床試験グループは、 進行胃癌の1次および2次治療に対してレンバチニブ+ペムブロリズマブ併用の有効性および安全性を評価した医師主導の第Ⅱ相試験EPOC1706を実施し、 客観的奏効率 (ORR) は69%、 PFS中央値は7.1ヵ月であった¹⁾。
そこで第III相試験LEAP-015では、 局所進行切除不能または転移性胃食道腺癌の1次治療として、 レンバチニブ+ペムブロリズマブ+化学療法併用の有効性および安全性を、 化学療法単独を対照として評価した。
HER2陰性の局所進行切除不能または転移性胃食道腺癌患者880例が以下の2群に割り付けられた。
その後は、 レンバチニブ+ペムブロリズマブまたは化学療法による地固め療法を実施した。
主要評価項目はPD-L1 CPS≥1の患者および全患者におけるPFSとOS、 副次評価項目はORR、 奏効期間 (DOR) などであった。
本試験ではα=0.025を全体の有意水準 (片側) とし、 Maurer and Bretz法により各評価項目に配分・他の検定結果に応じて再配分が行われた。
追跡期間中央値はPD-L1 CPS≥1の患者で32.2ヵ月 (範囲 19.0-41.7ヵ月)、 全患者で31.8ヵ月 (19.0-41.7ヵ月) であった。
中間解析のPFS中央値において、 併用群は化学療法単独群と比べて有意な改善を示した。
HR 0.75 (95%CI 0.62-0.9)、 p=0.0012
HR 0.78 (95%CI 0.66-0.92)、 p=0.0019
また、 ORRにおいても、 併用群は化学療法単独群と比べて有意な改善が認められた。
p<0.0001
p<0.0001
最終解析のOS中央値において、 PD-L1 CPS≥1の患者で両群間に有意差は認められなかった (12.6ヵ月 vs 12.9ヵ月、 HR 0.84 [95%CI 0.71-1.00]、 p=0.0244*)。
Grade 3以上のTRAE発現率は、 併用群が65%、 化学療法単独群が49%であった。
著者らは 「切除不能または転移性胃食道腺癌の1次治療において、 レンバチニブ+ペムブロリズマブ+化学療法はPFSを有意に改善した。 ただし、 この群間差における臨床的意義は限定的であり、 PD-L1 CPS≧1患者のOSでは有意な改善が認められなかった。 また、 レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用によりTRAE発現率が増加した」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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