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HOKUTO編集部

4日前

学会抄録作成に迷わない!構成づくりを助けるプロンプト3選

学会抄録作成に迷わない!構成づくりを助けるプロンプト3選
医療での生成AI活用のトップランナー、 大塚篤司先生によるChatGPT講座。 今回は、 学会抄録作成に焦点を当て、 3つのステップに沿ったプロンプトを紹介します!

はじめに

前回は、 文献検索を効率化するプロンプトを紹介した。 今回は、 医師のキャリアにおいて重要な 「学会発表」、 特に抄録作成に焦点を当てる。

学会抄録作成は、 限られた文字数の中で研究の全体像を的確に伝える必要があり、 多くの医師が苦手意識を持つ作業である。

「どこから書き始めればいいのか?」 「何を削って何を残すべきか?」 「どんな構成が効果的か?」 など、 悩みは尽きない。

このような場合、 ChatGPTを 「構成アドバイザー」 として活用することで、 抄録作成のハードルを大幅に下げることができる。 今回は、 「データを整理する」 「文章化する」 「インパクトを高める」 の3つのステップに対応したプロンプトを紹介する。

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今日から使える!3つのプロンプト

1. データを整理する

活用シーン

散在する研究データや結果から、 学会抄録作成に必要な要素を整理し、 構造化された箇条書きを作成する。

プロンプト例

あなたは臨床研究の指導医です。 
以下の研究情報から、 学会抄録作成のための箇条書きを作成してください。 
重要な情報を漏らさず、 かつ簡潔にまとめることを心掛けてください。 
【 研究の概要】
[研究の大まかな内容を2-3文で記載]
【生データ・結果】
[統計解析結果、 患者背景、 アウトカムデータなどを貼り付け]
【出力形式】
以下の構成で、 箇条書きにまとめてください : 
 背景 (3-4項目) 
- 疾患の現状や問題点
- 既存治療の限界
- 本研究の着想に至った理由
 目的 (1項目) 
- 明確な研究目的を1文で
 方法 (5-6項目) 
- 対象 : 症例数、 選択基準
- 期間 : 研究期間
- デザイン : 前向き/後ろ向き、 RCT/観察研究など
- 介入/観察項目 : 具体的な内容
- 評価項目 : 主要/副次評価項目
- 統計 : 使用した統計手法
 結果 (3-4項目) 
- 患者背景の要約
- 主要評価項目の結果 (具体的数値含む) 
- 副次評価項目の主な結果
- 有害事象や予期せぬ所見
 結論 (2項目) 
- 研究から得られた主な知見
- 臨床的意義・今後の展望

活用のコツ

● 生データは表形式でも文章でも、 そのまま貼り付けて構わない。

● 未発表データを用いる場合は、 必ず一時チャットボタンをクリックして学習させないようにする (下図参照)。

● 作成された箇条書きは、 次のプロンプトで文章化する際の基礎となる。

学会抄録作成に迷わない!構成づくりを助けるプロンプト3選
(OpenAIのChatGPT画面より引用。 右上の 「一時」 をクリックすると 「一時チャット」 に切り替わる。)

2. 文章化する

活用シーン

「1. データを整理する」 で示したプロンプト (プロンプト1) で作成した箇条書き、 または自分でまとめた箇条書きから、 学会抄録として適切な文章を生成する。

箇条書きの段階で情報が整理されているため、 スムーズに文章化が行える。

プロンプト例

あなたは学会発表の経験豊富な医師です。 
以下の箇条書きの研究内容から、 800字以内の学会抄録を作成してください。 
【 研究情報】
タイトル : [研究タイトル]
[プロンプト1で作成した箇条書き、 または自作の箇条書きを貼り付け]
【作成の注意点】
- 学会名 : [対象となる学会名]
- 文字数 : 800字以内 (厳守) 
- 文体 : である調で統一
- 構成 : 背景→目的→方法→結果→結論の順序を守る
- 数値 : 具体的な数値は正確に記載
- 略語 : 初出時は正式名称を併記
【出力形式】
自然な流れの学会抄録を作成してください。 各セクションは改行せず、 連続した文章として記載してください。 

活用のコツ

● 生成された文章は必ず原データと照合し、 数値の正確性を確認する。

● 学会によって好まれる文体があるため、 過去の抄録集を参考に調整する。

⚠️ ChatGPTが生成した文章は、 指定文字数を守らない場合が多い。 必ず文字数カウントツールで確認し、 必要があれば手動で調整する。

3. インパクトを高める

活用シーン

採択率を上げるため、 研究の魅力が伝わるタイトルと、 記憶に残るキーメッセージを作成する。

プロンプト例

あなたは学会のプログラム委員の視点を持つ医師です。 
以下の研究内容に基づいて、 インパクトのある抄録タイトルを3案提案してください。 
また、 この研究の 「1行で伝えるキーメッセージ」 も作成してください。 
【研究内容】
現在のタイトル : [現在のタイトル]
研究の要約 : [研究内容を100字程度で]
主な新知見 : [最も重要な発見]
対象学会 : [学会名と専門領域]
【出力形式】
1. タイトル案
   - 案1 : [具体的な結果を含むタイトル]
   - 案2 : [臨床的意義を強調するタイトル]
   - 案3 : [新規性を前面に出すタイトル]
2. キーメッセージ (1行、 30字以内) 
    「」 
3. 各タイトル案の狙い
   - 案1の狙い : 
   - 案2の狙い : 
   - 案3の狙い : 

活用のコツ

● 対象学会の特性 (基礎重視or臨床重視など) を明確に伝える。

● タイトルは長すぎず、 かつ具体性をもたせる。

● キーメッセージは口頭発表の締めくくりにも使える。


安全に使うために!知っておきたい3つのピットフォール

1. 学会規定の確認

学会によって独自の抄録フォーマットがある。 文字数や図表の可否、 構造化抄録の要否などを必ず公式サイトで確認し、 AIへの指示に反映させる。

2. オリジナリティは自分の言葉で

AIが生成した文章をそのまま使うと、 没個性的な抄録になりがち。 AIの提案はあくまで 「たたき台」 として、 自分の言葉で研究の熱意と意義を伝えることが重要である。

3. 倫理的配慮の記載

多くの学会で倫理委員会承認番号の記載が必須となっている。 AIは研究倫理に関する具体的な情報を持たないため、 この部分は必ず自分で確認・記載する。

1. 研究内容の構造化で抄録の骨組みを作る
2. 文字数を調整し、 規定に収まる簡潔な文章を作成する
3. タイトル最適化で採択率向上を狙う
このプロセスをAIと協働で進めることで、 抄録作成にかかる時間を大幅に短縮できる。 しかし、 最も重要なのは、 あなたの研究が持つ 「ストーリー」 と 「想い」 である。 
AIを優秀な編集アシスタントとして活用しながら、 研究の本質的な価値を、 限られた文字数の中で最大限に表現する。 それが、 聴衆の心に響く抄録を生み出す秘訣である。 次回の学会発表に向けて、 ぜひこれらのプロンプトを活用してみてほしい。 

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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