Steuerらは、 プラチナ製剤ベースの化学療法、 免疫チェックポイント阻害薬、 分子標的治療などにより病勢進行 (PD) が認められ、 EGFR遺伝子変異陰性の非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者を対象に、 抗体薬物複合体 (ADC) であるpatritumab deruxtecan (HER3-DXd) の有効性および安全性を第Ⅰ相試験U31402-A-U102のコホート2で検討した。 その結果、 HER3-DXdは他の遺伝子変異の有無に依らず、 既報であるEGFR遺伝子変異陽性患者同様の有効性と管理可能な安全性プロファイルを示した。 本研究はJ Clin Oncol誌において発表された。
JCOのRelevanceでは、 HER3-DXdは既治療かつ分子プロファイルが多様な患者集団において有効性を示しており、 これらの知見を確認するための大規模な検証試験の実施が求められると述べられています。
HER3-DXdは、 HER3を標的とする開発中のADCであり、 抗HER3抗体patritumabと、 安定なテトラペプチドベースの切断可能リンカーを介して結合されたトポイソメラーゼI阻害薬から構成される。
本剤は、 これまで、 進行中の第Ⅰ相試験U31402-A-U102および第II相試験HERTHENA-Lung01において、 既治療のEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者に対して奏効および奏効持続期間について有効性が示されていた¹⁾²⁾³⁾。
そこで第Ⅰ相試験U31402-A-U102のコホート2では、 これらの知見を、 他のドライバー遺伝子変異を有する、 または変異が同定されていない進行NSCLC患者に拡張して検討した。
第Ⅰ相試験U31402-A-U102のコホート2に登録され、 プラチナベースの化学療法、 免疫チェックポイント阻害薬、 分子標的療法などによりPDが認められたEGFR変異陰性の扁平上皮または非扁平上皮NSCLC患者47例に、 HER3-DXd 5.6 mg/kgが3週ごとに1回静脈内投与された。
主要評価項目は確定客観的奏効率 (cORR) であった。
治療期間中央値は4.2ヵ月 (範囲 0.7-19.8ヵ月) だった。
cORRは27.7% (95%CI 15.6-42.6%)、 奏効期間 (DOR) 中央値は8.1ヵ月 (同4.2-NE) であった。
無増悪生存期間 (PFS) 中央値は5.5ヵ月 (95%CI 4.0-11.2ヵ月)、 全生存期間 (OS) 中央値は15.2ヵ月 (同10.8-17.7ヵ月) であった。
サブグループ解析において、 特定されたドライバー遺伝子変異の有無に依らず、 同様の有効性が観察された。
治療中に発現した有害事象 (TEAE) の治療中止率は12.8%であった。 Grade 3以上の治療関連TEAEは51.1%で認められ、 うち12.8%が重篤であったが、 死亡例は報告されなかった。 治療関連の間質性肺疾患 (ILD) として5例 (10.6%) が認められたが、 いずれもグレード1/2であった。
著者らは 「EGFR遺伝子変異陽性NSCLCにおいてこれまで報告されてきたHER3-DXdの有効性と安全性が、 他のドライバー遺伝子変異を有する、 あるいは変異が同定されないNSCLCでも確認され、 さらなる臨床的検討が必要であることが示された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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