Syedaらは、 切除後のBRAF V600変異陽性のIII期悪性黒色腫患者を対象に、 ctDNA測定が予後予測バイオマーカーとして有用かを第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験COMBI-ADに基づき検討した。 その結果、 ctDNA陽性に無再発生存期間および全生存期間の短縮との関連が認められた。 研究結果はLancet Oncol誌に発表された。
ベースライン血漿検体は870例中597例から取得されていますが、 治療開始後3、 6、 9、 12ヵ月のランドマーク追跡でctDNA陽性率を評価するためのサンプルが取得可能であったのは94例にとどまっています。 縦断的サンプル数の少なさがlimitationとなります。
セルフリー腫瘍循環細胞 (ctDNA) は微小残存病変の評価法として確立されているが、 悪性黒色腫の管理では一般的に用いられていない。
この研究では、 ctDNA測定でIII期悪性黒色腫の術後補助標的療法群またはプラセボ群の生存転帰を予測できるかどうかを検討し、 予後を層別化した。
COMBI-AD試験に登録された18歳以上の切除後BRAF V600変異陽性III期悪性黒色腫患者は、 ダブラフェニブ (150mgを1日2回) +トラメチニブ (2mgを1日1回) の併用経口療法群とプラセボ群に1:1に割り付けられた。
患者は2013年1月31日~14年12月11日に登録のためのスクリーニングが実施され、 ECOGのPSは0または1であった。 BRAF V600EまたはBRAF V600K ctDNA測定には、 変異特異的droplet digital PCRアッセイを使用した。
主要評価項目は無再発生存期間 (RFS) であり、 最終解析結果は既報¹⁾の通り、 ダブラフェニブ +トラメチニブによる有意な改善を認めた。 事前に規定された探索的評価項目のバイオマーカー解析がintention-to-treat集団を対象に実施され、 ctDNA量の経時的変化、 腫瘍変異負荷およびインターフェロンガンマ (IFNG) 遺伝子発現と生存転帰との関連を比較した。
ベースラインの血漿検体は870例中597例から採取され、 94例で治療開始後3、 6、 9、 12ヵ月のランドマーク追跡でctDNA陽性率を評価するための検体が取得可能であった。
118例では、 再発前後2ヵ月の間に検体を取得できた。 ベースラインの検体597例のうち79例 (13%) でctDNAを検出できた。 ctDNA陽性率および変異体コピー数は、 疾患ステージが高い患者で有意に高かった。
ctDNA検出の有無を二値変数として解析したところ、 ベースラインでctDNAが検出された場合はRFS、 全生存期間 (OS) がいずれも不良であった。
RFSとOSの中央値は、ctDNA陽性、ctDNA陰性でそれぞれ以下の通りであった。
プラセボ群
併用療法群
ベースラインのctDNAには、 腫瘍変異負荷、 IFNG遺伝子発現に比べて生存転帰との強い関連が認められた。
ctDNAの縦断的変動に基づく解析では、 分子学的再発または持続的陽性例のRFS中央値は8.31ヵ月 (95%CI 5.39-12.20ヵ月) および5.32ヵ月 (同2.79ヵ月-未到達) であり、 陰性化した症例 (19.25ヵ月、 95%Cl 16.39ヵ月-未到達) および持続的陰性症例 (未到達、 95%CI 38.44ヵ月-未到達) より著しく短かった (p<0.0001)。
著者らは、 「droplet digital PCRによるctDNA測定により、 術後補助標的治療前および経過観察中の微小残存病変を評価することで、 早期再発リスクの高い患者を特定することができる。 治療的介入を導くためにctDNA測定を使用する詳細な研究が、 切除後のIII期悪性黒色腫の管理改善につながるであろう」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
あなたは医師もしくは医療関係者ですか?
HOKUTOへようこそ。当サイトでは、医師の方を対象に株式会社HOKUTOの臨床支援コンテンツを提供しています。