
東京科学大学大学院医歯学総合研究科AIシステム医科学分野の古賀大介氏らの研究グループは、 国内の健康診断記録を基に、 心電図 (ECG) のデータのみを用いて糖尿病予備群を特定する人工知能 (AI) モデル 「DiaCardia」 を後ろ向きコホート研究で開発・検証した。 その結果、 単一誘導心電図を用いる 「DiaCardia」 モデルは高精度で糖尿病予備群を特定し、 ウェアラブル端末による日常的なスクリーニングを実現する可能性が示された。 本研究は、 Cardiovasc Diabetol誌において発表された。
実臨床レベルで即座に使用可能とは言い難いですが、 スクリーニングツールとしての可能性は非常に高いことから今後の研究成果が期待されます。
糖尿病予備群の早期発見は糖尿病予防において重要であるものの、 無症状であることや検診率の低さから依然として困難である。 糖尿病は心不全の独立したリスク因子であり、 糖尿病予備群の段階で心不全発症リスクがすでに増加していることから、 この段階で心臓に何らかの影響を及ぼしていると考えられる。
そこで、 ECGのみを用いて糖尿病予備群を特定するAIモデル 「DiaCardia」 を後ろ向きコホート研究で開発・検証した。
空腹時血糖値≥110mg/dL、 HbA1c≥6.0%、 または糖尿病治療中を 「糖尿病予備群/糖尿病」 と定義した。
最良の性能を示したLightGBMベースのアルゴリズム 「DiaCardia」 は、 テストデータセットにおいてROC曲線下面積 (AUROC) *0.851を達成した (感度 85.7%、 特異度 70.0%)。
本モデルは堅牢な一般化可能性を示し、 外部検証コホートにおいてAUROC 0.785を達成した。
さらに、 心電図データに影響を及ぼすとされる年齢・性別・BMI・血圧・喫煙・飲酒の6つの主要交絡因子を傾向スコアマッチングで補正後もAUROCは0.789を示し、 本モデルは十分な予測能を維持した。
aVLおよびI誘導におけるR波振幅の増加、 ならびにピーク間隔分散の縮小が顕著な予測因子であった。
腕時計型ウェアラブル端末における単一誘導 (I誘導) 心電図データのみを用いた場合、 上記と同等のAUROC 0.844 (感度 82.3%、 特異度 70.2%) を達成した。
著者らは 「本研究の結果より、 AIモデルのDiaCardiaが心電図のデータのみから糖尿病予備群を高精度で特定できることが実証された。 その性能は異なる患者集団でも堅牢であり、 主要な臨床的交絡因子の影響を受けなかった。 汎用性の高い単一誘導DiaCardiaモデルは、 ウェアラブル端末による大規模展開が可能なスクリーニングの有望なソリューションであり、 早期の在宅検出を可能にし、 糖尿病予防戦略を変革する可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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