
Zarbockらは、 大手術後の急性腎障害 (AKI) のリスクが高い成人患者を対象に、 AKI発症を予防するケア戦略の有効性を無作為化比較試験BigpAK-2で検討した。 その結果、 予防的ケア戦略により中等度以上のAKI発症率が有意に低減することが明らかとなった。 本研究はLancet誌において発表された。
介入群では高度モニタリングや循環管理が強化され、 低血圧減少などの臨床的改善がみられましたが、 血糖管理は最も困難であったようです。
AKIは大手術における一般的かつ重要な合併症であるが、 推奨される予防的ケアは十分に実施されていない。 本研究では、 術前バイオマーカーによって高リスク患者を特定し、 大手術後72時間以内のAKIを減少させるための予防的ケア戦略を実施した。
対象は、 ヨーロッパ34施設で大手術を受ける成人患者のうち、 臨床リスク因子と尿細管ストレスバイオマーカーによりAKI高リスクと判定された患者だった。
Kidney Disease Improving Global Outcomes (KDIGO) ガイドラインの推奨に基づく予防的ケア戦略 (血行動態モニタリング、 体液量・血圧の最適化、 腎毒性薬剤の回避、 高血糖の予防) を行う介入群と、 通常ケアを行う対照群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は術後72時間以内に発生した中等度または重度AKIの発症率だった。
1,180例が無作為化され、 介入群589例、 対照群591例に割り付けられた。 中等度または重度AKIの発症率は、 介入群が14.4%、 対照群が22.3%だった (オッズ比 0.57 [95%CI 0.40-0.79]、 p=0.0002)。 有害事象 (AE) の発現に有意差は認めず、 主なAEは、 心房細動 (介入群 8.8% vs 対照群 9.7%)、 血行動態に影響する不整脈 (7.2% vs 8.6%)、 重度出血 (6.0% vs 5.3%)、 再手術 (5.1% vs 6.5%) だった。
著者らは、 「大手術を受けるAKI高リスクの成人患者において、 予防的ケア戦略は、 有害事象を増加させることなく、 中等度または重度のAKI発生を有意に減少させた」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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