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13日前

【Lancet】高リスク患者の術後AKIを有意に減少させた介入とは?

【Lancet】高リスク患者の術後AKIを有意に減少させた介入とは?
Zarbockらは、 大手術後の急性腎障害 (AKI) のリスクが高い成人患者を対象に、 AKI発症を予防するケア戦略の有効性を無作為化比較試験BigpAK-2で検討した。 その結果、 予防的ケア戦略により中等度以上のAKI発症率が有意に低減することが明らかとなった。 本研究はLancet誌において発表された。 

📘原著論文

A preventive care strategy to reduce moderate or severe acute kidney injury after major surgery (BigpAK-2); a multinational, randomised clinical trial. Lancet. 2025 Nov 13:S0140-6736(25)01717-9. Online ahead of print. PMID: 41242333

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

介入群では高度モニタリングや循環管理が強化され、 低血圧減少などの臨床的改善がみられましたが、 血糖管理は最も困難であったようです。

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急性腎障害 (AKI) 総説

Lancet. 2025 Jan 18;405(10474):241-256.

背景

予防的ケア実施は不十分

AKIは大手術における一般的かつ重要な合併症であるが、 推奨される予防的ケアは十分に実施されていない。 本研究では、 術前バイオマーカーによって高リスク患者を特定し、 大手術後72時間以内のAKIを減少させるための予防的ケア戦略を実施した。

研究デザイン

対象はAKI高リスクの大手術予定患者

対象は、 ヨーロッパ34施設で大手術を受ける成人患者のうち、 臨床リスク因子と尿細管ストレスバイオマーカーによりAKI高リスクと判定された患者だった。

ガイドライン推奨予防的ケアによる介入

Kidney Disease Improving Global Outcomes (KDIGO) ガイドラインの推奨に基づく予防的ケア戦略 (血行動態モニタリング、 体液量・血圧の最適化、 腎毒性薬剤の回避、 高血糖の予防) を行う介入群と、 通常ケアを行う対照群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は術後72時間以内に発生した中等度または重度AKIの発症率だった。

結果

中等度以上のAKI発症率を低減

1,180例が無作為化され、 介入群589例、 対照群591例に割り付けられた。 中等度または重度AKIの発症率は、 介入群が14.4%、 対照群が22.3%だった (オッズ比 0.57 [95%CI 0.40-0.79]、 p=0.0002)。 有害事象 (AE) の発現に有意差は認めず、 主なAEは、 心房細動 (介入群 8.8% vs 対照群 9.7%)、 血行動態に影響する不整脈 (7.2% vs 8.6%)、 重度出血 (6.0% vs 5.3%)、 再手術 (5.1% vs 6.5%) だった。

結論

予防的ケア戦略はAKI予防に有望

著者らは、 「大手術を受けるAKI高リスクの成人患者において、 予防的ケア戦略は、 有害事象を増加させることなく、 中等度または重度のAKI発生を有意に減少させた」 と報告している。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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