
Zhangらは、 中国において術前療法を受けた乳癌患者を対象に、 治療早期の細胞増殖能マーカーであるKi67変化率 (ΔKi67%) による予後予測の有用性について前向きコホート研究で検討した。 その結果、 ΔKi67%は5年無イベント生存 (EFS) 率の層別化に有用であり、 特にエストロゲン受容体 (ER) 陰性・HER2陰性およびHER2陽性患者における治療強化の指標となる予後予測因子であることが示唆された。 本研究はBreast誌において発表された。
本研究の主な限界は、 術前療法に対する腫瘍反応評価期間の短さ、 レジメンの多様性、 画像評価の制約、 前向き検証の欠如、 Ki67評価の主観性が挙げられます。
乳癌において術前療法への反応を早期に予測することは、 治療戦略の最適化および治療成績の向上にとって極めて重要である。
そこで、 術前療法中のコア針生検 (CNB) によるΔKi67%の予後予測能として、 EFSの層別化および治療強化の指標としての有用性を前向きコホート研究で評価した。
2013~21年に中国の復旦大学上海癌センターにおいて術前療法を受けた乳癌患者1,388例がトレーニングセットおよび検証セットに7 : 3で無作為に割り付けられた。
ΔKi67%は、 ベースラインから中央値2サイクルの術前療法後に実施されたCNBまでの変化率として算出された。 k-means法によるクラスター分析により、 40%が最適なカットオフ値として設定され、 患者が低反応群 (≤40%) と高反応群 (>40%) に分類された。 EFSは、 カプラン・マイヤー法、 多変量Coxモデル、 および制限平均生存時間 (RMST) を用いて解析された。
高反応群は、 トレーニングセット (78.8% vs 62.4%、 p<0.001) および検証セット (78.6% vs 60.9%、 p=0.001) のいずれにおいても、 低反応群と比べて5年EFS率が有意に良好であった。
ΔKi67%は、 RMST解析において画像ベースの指標よりも強力な層別化能を示し、 調整後も独立した予後予測因子であることが認められた。
サブグループ解析では、 ER陰性・HER2陰性サブグループの低反応群において、 化学療法の強化により3年EFS率が32.0%改善する可能性が示唆された。
また、 さらに検証は必要であるものの、 HER2陽性サブタイプの低反応群では、 二重HER2阻害療法により3年全生存 (OS) 率が14.1%改善した。
著者らは 「術前療法中のCNBによるΔKi67%の40%カットオフを用いた評価が最適な治療個別化を可能にする予後予測因子であることが示唆され、 特にER陰性・HER2陰性およびHER2陽性乳癌患者において、 強化療法の恩恵が得られる可能性が示された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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