
Al-Samkariらは、 遺伝性出血性毛細血管拡張症 (HHT) 患者を対象に、 新規AKT阻害薬engasertibの安全性および有効性を二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験で検討した。 その結果、 engasertibは安全性プロファイルがプラセボと概ね同等であり、 鼻出血頻度および持続時間を減少させる可能性が示された。 本研究はNEJM誌において発表された。
本試験は有効性差を検出できる十分なサンプルサイズではなかった点が最大のlimitationです。
HHTは、 反復する重度の鼻出血、 貧血、 QOL低下を来す希少疾患であり、 現在承認された治療薬は存在しない。 鼻出血に対する新規薬物療法の確立は未充足の医療ニーズであり、 細胞増殖経路であるAKTの阻害薬engasertibが治療薬候補として注目されている。
対象はHHT患者で、 engasertib 30mg (30mg群)、 engasertib 40mg (40mg群)、 またはプラセボ (プラセボ群) の3群に1 : 1 : 1で割り付け、 1日1回12週間経口投与した。 主要評価項目は有害事象の頻度と重症度で、 重要な副次評価項目は鼻出血の頻度と持続時間だった。
75例が無作為化され、 30mg群 (24例)、 40mg群 (25例)、 プラセボ群 (26例) に割り付けられた。 主な有害事象は、 軽度~中等度の皮疹 (30mg群21%、 40mg群42%、 プラセボ群8%) および軽度~中等度の高血糖 (40mg群12%、 他0%) だったが、 どちらも可逆的だった。 重篤な有害事象の発現率は、 プラセボ群と同程度だった。
ベースラインから12週までの鼻出血頻度の平均減少率は、 30mg群が26.5±26.5%、 40mg群が27.8±35.1%、 プラセボ群が18.0±36.0%で、 鼻出血持続時間の平均減少率は、 それぞれ29.9±53.2%、 41.4±41.0%、 23.8±53.4%だった。
著者らは、 「engasertibはHHT患者において概ね良好な安全性を示し、 軽度~中等度の皮疹を除けばプラセボと同等の安全性プロファイルだった。 またengasertibによる治療は、 鼻出血の頻度および持続時間の減少と関連していた。 」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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