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HOKUTO編集部

1日前

BCG不応NMIBCへの膀胱内ゲムシタビン放出薬、 9ヵ月時のDFS率81%、OS率98%

BCG不応NMIBCへの膀胱内ゲムシタビン放出薬、 9ヵ月時のDFS率81%、OS率98%
BCG不応で乳頭状病変のみを有する高リスク筋層非浸潤性膀胱癌 (NMIBC) における、 膀胱内ゲムシタビン放出薬TAR-200の有効性および安全性を検証した第Ⅱb相試験SunRISe-1の中間解析結果より、 80%超の高いDFSが示された。 スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのFélix Guerrero-Ramos氏が発表した。 

背景

高侵襲な膀胱全摘に替わる治療法の開発

膀胱癌の75%を占めるNMIBCは約半数が高リスクとされ、 BCG療法を行っても高リスク例の約50%が再発または進行する。 BCG不応の高リスク例には膀胱全摘除術 (RC) が標準治療となるが、 RCの手術侵襲は大きく、 さらに乳頭状病変のみを呈する患者には現在承認された治療法がない。

今回、 第Ⅱb相SunRISe-1試験の中で、 乳頭状病変のみを有するBCG不応の高リスクNMIBC患者を対象としたコホート4において、 TAR-200の有効性と安全性を検証した中間解析結果 (データカットオフ: 2025年3月31日) が報告された。

試験の概要

対象は乳頭状病変のみのBCG不応NMIBC

コホート4の対象は、 BCG最終投与後12ヵ月以内に診断された上皮内癌 (CIS) を伴わない乳頭状病変のみの高リスクNMIBCで、 持続性または再発性病変を有する患者と、 BCG不応でRCが非適格または拒否した患者が適格とされた。

52例に対しTAR-200を3週毎に24週間投与し、 その後12週毎に96週投与した。

主要評価項目はDFS

コホート4の主要評価項目は12ヵ月時点の無病生存期間 (DFS) で、 DFSイベントは再発、 進行、 または死亡のいずれかと定義された。 副次評価項目は安全性と忍容性だった。

治療効果の判定は、 3ヵ月毎の膀胱鏡検査、 3ヵ月毎の中央細胞診、 24週毎の局所画像検査、 および臨床的に必要と判断された場合の中央評価による膀胱生検によって行われた。

試験の結果

RC未施行の理由は患者の拒否が約82%

コホート4 (52例) の患者背景においてTaは59.6%、 T1は40.4%だった。 RCを受けなかった理由として、 患者の拒否が82.4%、 非適格が17.6%だった。

高グレードTa/T1のいずれも高いDFS

追跡期間中央値12.8ヵ月における全集団のDFS中央値は未到達だった(95%CI 12.1ヵ月-NE)。 6ヵ月DFS率は85.3%(同 71.6–92.7%)、 9ヵ月DFS率は81.1%(同 66.7–89.7%)だった。 またRCを受けた患者は5.8%(52例中3例)のみだった。

深達度別のサブグループ解析では、 高グレードTa集団の6ヵ月DFS率は85.7%(同 66.3–94.4%)、 9ヵ月DFS率は82.1%(同 62.3–92.1%)、 T1集団ではそれぞれ84.7%(同 59.7–94.8%)、 79.4%(同 54.0–91.7%)であり、 T病期に関わらずTAR-200の有効性が示された。

9ヵ月OS率は98%を達成

無増悪生存期間 (PFS) と全生存期間 (OS) 中央値はいずれもNEで、 9ヵ月PFS率は95.6%(95%CI 83.5-98.9%)、 9ヵ月OS率は98.0%(同 86.4-99.7%)だった。 また、 52例中1例(1.9%)のみ筋層浸潤性膀胱癌 (MIBC) への進行が確認された。

新たな安全性シグナルは検出されず

治療中に発現した有害事象 (TEAE) のほとんどはGrade1/2であり、 多くのTEAEは中央値3.7週で速やかに回復した。 3例(5.8%)で重篤な治療関連有害事象 (TRAE) が発現し、 4例(7.7%)がTRAEのために治療を中止した。 治療関連死の報告はなかった。 またTAR-200のデバイス挿入成功率は99.5% (389例中387例) だった。

結論

第Ⅲ相試験でのさらなる検証を期待

Ramos氏は 「TAR-200は、 乳頭状病変のみのBCG不応高リスクNMIBCにおいて優れたDFSを示し、 9ヵ月OS率は98.0%、 9ヵ月PFS率は95.6%といずれも高値だった。 新たな安全性シグナルは確認されなかった。 本試験の結果を裏付けて、 現在、 BCG不応あるいは既治療で乳頭状病変のみの高リスクNMIBCにおけるTAR-200の有効性を、 膀胱内化学療法と比較評価した第Ⅲ相SunRISe-5試験が進行中である」 と報告した。

こちらの記事の監修医師
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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