Babikerらは、 切除不能局所進行膵腺癌の1次治療として化学療法 (ゲムシタビン+nab-パクリタキセル) に併用する腫瘍治療電場 (TTフィールド) 療法の有効性および安全性を国際多施設共同第Ⅲ相ピボタル非盲検無作為化比較試験PANOVA-3で評価した。 その結果、 化学療法単独と比較して、TTフィールド併用により全生存期間 (OS) および無痛生存期間が有意に改善した。 本研究はJ Clin Oncol誌に発表された。
本文の結論では、 本試験の結果が他の固形腫瘍に対する標準治療との併用におけるTTフィールド療法の有用性を示唆し、 さまざまな治療領域における本治療の適応拡大の可能性を支持するものであることが示されています。
膵癌への新たな医療機器TTフィールド併用でOS改善 : 第Ⅲ相PANOVA-3
腫瘍治療電場 (TTフィールド) は、 交流電場を用いて癌細胞の増殖を阻害する治療法である。
TTフィールドは前臨床の膵癌モデルにおいてin vitroおよびin vivoの両方で顕著な抗腫瘍活性を示しており、 化学療法との併用でその効果が高まることが示された¹⁾。 また、 進行膵腺癌患者を対象とした第Ⅱ相PANOVA試験では、 ゲムシタビン+nab-パクリタキセルと併用したTTフィールド療法の実施可能性、 安全性、 および有効性が認められた²⁾。
そこで第Ⅲ相PANOVA-3試験において、 切除不能局所進行膵腺癌患者に対するTTフィールド療法の有効性と安全性を評価した。
新規の切除不能局所進行膵腺癌患者571例が以下の2群に1 : 1で割り付けられた。
主要評価項目はOS、 副次評価項目は無増悪生存期間 (PFS)、 局所PFS、 無痛生存期間、 全奏効率 (ORR) であった。 遠隔PFSは事後解析された。
主要評価項目であるOS中央値は、 TTフィールド併用群が16.2ヵ月 [95%CI 15.0-18.0ヵ月] であり、 化学療法単独群の14.2ヵ月 [95%CI 12.8-15.4ヵ月] と比べて有意に改善した (HR 0.82 [95%CI 0.68-0.99]、 p=0.039)。
PFS、 局所PFS、 ORRでは、 TTフィールド併用群で改善が認められなかった。
一方で、 無痛生存期間中央値は、 TTフィールド併用群が15.2ヵ月 [95%CI 10.3-22.8ヵ月] であり、 化学療法単独群の9.1ヵ月 [95%CI 7.4-12.7ヵ月] と比べて有意な改善が示された (HR 0. 74 [95%CI 0.56-0.97]、 p=0.027)。
事後解析による遠隔PFSは、 TTフィールド併用群が13.9ヵ月 [95%CI 12.2-16.8ヵ月]、 化学療法単独群が11.5ヵ月 [95%CI 10.4-12.9]であった (HR 0.74 [95%CI 0.57-0.96]、 p=0.022)。
デバイス関連の皮膚有害事象 (AE) が対象患者の76.3%で認められた。 そのほとんどは軽度から中等度であり、 7.7%がGrade 3であった。
著者らは 「切除不能局所進行膵腺癌において、 ゲムシタビン+nab-パクリタキセルへのTTフィールド併用は、 OSおよび無痛生存期間で有意な改善を示し、 全身的な毒性の上乗せは認められなかった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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